嵐の夜、黒い海の上で小さな船が荒波に揺れながら進んでいました。その船の名前は「ベンチャーズ号」。その船長は勇敢な海賊、ジャック・ホークアイです。長い旅を終えた船が港にたどり着いたが、船の甲板に一本のおかしな手紙が落ちているのに気づきました。その手紙に書かれていたのは、「消防署に急いで来い。そこに全ての答えがある」という謎めいたメッセージでした。
—仲間たち、われらはこの手紙の言う通りにしよう。これはただの偶然ではないにちがいない、とジャックは決意を表しました。
ジャックと船員たちは急いで消防署へと進みました。港から少し離れた丘の上に建つ消防署は、赤い屋根と大きな時計塔が特徴的でした。消防署の中へ入ると、木製の床がきしみ、古い消防車が眠っていました。突然、奥から声が聞こえました。
—そこに誰かいるのか？
薄暗い中から現れたのは、金髪で青い目を持つ若い王子、エドウィンでした。エドウィンはジャックと対峙し、しばらくの間、お互いの様子を探り合いました。
—私は王子エドウィン、この国を守る使命を持っています。あなたは一体誰ですか？
—おれは海賊ジャック・ホークアイ。手紙に導かれてここに来たのだが、あなたがその送人か？ とジャックは問い返しました。
エドウィンはうなずきました。そして話し始めました。
—実は、私たちの国は悪い魔法使いに呪われているのです。彼はこの世の全ての水を干上がらせようとしています。それを阻止するためには、「海神のブイ」が必要です。しかし、それは深い海の底、あまりに遠くにあったため、私はあなたの助けがいるのです。
説明を聞いたジャックは思案し、同志となることを決めました。消防署の古びた地図を持ち出し、エドウィンと共に新しい冒険に出発しました。
一行は消防署を後にし、再びベンチャーズ号に乗り込みました。船は夜の海を突き進み、やがて光る星と月明かりが二人の道を照らしました。船は静かな湾にたどり着き、そこには神秘的な青い光が水中から放たれていました。
—これが海神のブイだろうか？ とジャックはつぶやいた。
—手を引いて、ジャック。私たちはこれを取り戻さなければならない、エドウィンがそう促しました。
ジャックとエドウィンは深海探索の準備を整え、潜水服と酸素タンクを背負いました。彼らは水中に飛び込み、暗い海底へと進んでいきました。
水中での視界は悪く、時折、奇妙な魚や海藻が二人の周りを取り囲みました。エドウィンが予め用意していた魔法のランプが青い光を放ち、道を示しました。小さな珊瑚礁を超えると、ついに神秘的な「海神のブイ」が見えてきました。それは大きく、金と青の美しい模様が刻まれていました。
—これが探していたものだ、とエドウィンがささやきました。—でも、気をつけて。この場所には守護者がいるはずです。
そう言うやいなや、巨大なエイが現れました。その目は鋭く、近づく者を拒むような表情をしていました。ジャックとエドウィンは盾を構え、互いに協力して戦いました。ジャックはエイの鰭を狙いながら、エドウィンはその意味深な呪文を唱え、守護者を鎮めました。
エイが去り、最後にブイが自由になると、エドウィンはそれを手に取り、ジャックと共に水面に浮上しました。ブイを元に戻すと、海神の力が蘇りました。水は再び流れ出し、干上がっていた湖や川が甦りました。
消防署へ戻った二人は肩を並べて、大胆な冒険を思い返しました。魔法使いの呪いは解かれ、国は平和を取り戻しました。ジャックとエドウィンは新たな友情を築き、これからも共に困難に立ち向かうことを誓いました。
——ジャック、ありがとう。君のおかげで国は救われました。
——いや、ありがとうは君にこそ言うべきだろう、エドウィン。君の勇気と知恵なくしては成し遂げられなかった。
二人は笑い合い、次の冒険へと心を弾ませた。
